鹿児島市の天文館図書館で行われたのは、”みんなで考える漁業のみらい”
日本の漁業の現状や水産業界で行われている取り組みを知り、これからの漁業について考えるイベントです。
まず、日本では漁師がここ20年で半分以下に減少し、魚の生産量もおよそ35年で3分の1以下まで減っている現状が示されました。
FISHERMAN JAPAN 長谷川琢也さん
「世界は人口が増えている、肉より魚の方が環境へ負荷が少ない、健康という理由で見直されている。世界では(生産量が)上がっている」
垂水市や錦江町、南大隅町で主にカンパチの養殖を行っている。小浜水産グループの小浜洋志さんは、日本と海外では天然の魚と養殖の魚でどちらが好まれるかが違うと話しました。
小浜水産グループ 小浜洋志さん
「日本は天然魚が上で養殖が下。海外では養殖魚が人間が管理して好まれるという国もある、安全性や(養殖魚の)おいしさを発信しないのは、我々養殖業の責任でもある」
また、肝付町で定置網漁を行っている晶徳丸の柳川拓哉さんは近年、海の環境が変わってきて、昔のように魚がとれなくなっていることを指摘しました。
柳川さんは今取れているものを無駄なく消費者に届けたいと、「未利用魚」と呼ばれる普段は捨てられている魚に着目し、出荷しています。インターネットを使って販売することで、売り上げも伸びているということです。
晶徳丸 柳川拓哉さん
「明日もどの魚が入るか分からないが、手元にある魚を食べておいしさをみんなに知ってもらうことが大事」
そして、大学生でありながら、その未利用魚を使った海鮮料理店の店主を務める西海晴さんは…
魚食発信基地オサカナばんざい・店主 西海晴さん
「お店で未利用魚を扱ってはいるが、未利用魚を食べましょうというつもりはない」
魚食発信基地オサカナばんざい・店主 西海晴さん
「魚食文化に興味を持ってもらうきっかけとして、水族館にいるあの魚が食べれるんだくらいのフックとして未利用魚に向き合ってもらえたら」
そのほかイベントでは漁師という仕事のイメージの刷新などについても意見が交わされ、働き方改革や家族に自慢できる会社作り、漁師は稼げる仕事というイメージをつけることなどのアイディアが出されました。
来場者(水産関係者)
「(鹿児島は)魚も産業として大きい、皆さんに知ってもらえるいい機会になった」
変化する環境に対応し、変わらないおいしさを提供するために、イベントは意識を高めるきっかけとなったようです。