鹿児島市のいおワールドかごしま水族館。
主に鹿児島の海に生息している生物を展示していて、その数はおおよそ800種1万点にも及びます。
「ジンベイザメきた!」
そんな鹿児島水族館の顔とも言えるのがジンベエザメです。
ジンベエザメは大きいものだと、体長18メートル以上にもなる世界最大の魚。
「ジンベイザメがいた」「大きい」
「思っていたより迫力があってびっくりしています」
人気者のジンベエザメですが、海で人間がジンベエザメに会うチャンスは少なく、その生態についてはまだ謎も多い魚です。
そんな貴重な魚は鹿児島の海にやってくるんです。
いおワールドかごしま水族館展示課 土田洋之さん
「鹿児島県では春から秋の、海水温があたたかい時期に沿岸近くまでやってくる。漁業者の間では知られているが、あまり多くの方には知られていないのではないか。」
鹿児島水族館によりますと、2000年からの20年間で鹿児島県の沿岸で定置網にかかったジンベエザメは、わかっているだけで、158尾います。
鹿児島水族館で展示されているジンベエザメは「ユウユウ」と名付けられ、現在10代目。
歴代ユウユウすべてが鹿児島の海で定置網にかかったものなのです。
ジンベエザメを展示している黒潮大水槽は水量1500トンと日本でも有数の大きさですが、ジンベエザメが大人になるまでは育てることができません。
そこで、かごしま方式と呼ばれるルールを設けています。
「成長すると最大18メートル以上になるジンベエザメを生涯飼い続けることはできない。全長5.5メートルを上限として、再び海に帰す方法で継続展示を行っている。」
「元気に海に帰すことで野生資源に負担をかけず、野生の数を減らさない、そんな展示方法」
ただ海にかえすだけではなく、飼育技術の向上や生態の解明に貢献しようと、海に戻す際には、発信器やカメラをつけ、追跡調査を行っています。
こちらは2016年に放流したジンベエザメの回遊経路を示したものです。黒い丸の部分がジンベエザメがいた場所で移動をし続けていることが分かります。
「夏に放流して東シナ海側に北上した個体」「8~10月にかけては東シナ海に滞在している」
「水温帯が24度など低くなってくると一気に南に向かっていくことが記録された」「冬の寒い時期にはあたたかい南の海に行くことが記録として残された」
また、2017年に取り付けたカメラでは、海にかえされたジンベエザメの接触行動を撮影することに成功。
さらに暖かい海を好むジンベエザメが冷たい深海へ行く様子も撮影されました。
「わざわざ冷たい場所に行くのは、エサを探しに行っているという仮説があった。その証拠をつかみたいというところだった。」
「深海に達した記録もあったが、あまりエサを食べているシーンは捕れなかった。ますますなんのために深海に潜ったのか、謎が深まった」
まだまだ謎が多いジンベエザメ。
現在、飼育されているジンベエザメの10代目ユウユウは、体長47メートル。来年か再来年には海にかえされる見込みです。
鹿児島の海にすむジンベエザメをこれからも飼育し続けるために。
そしてジンベエザメの生態を明らかにし、生態保全につなげていくために鹿児島水族館はこれからも調査を続けます。