枕崎市で、寒いところを好むサーモンを養殖し、新たな特産品にしようという事業が始まっています。
枕崎市で行われている陸上養殖の仕組みを開発したのが、熊本県八代市の平山正さん。
一般的に陸上での養殖には数十億円におよぶ費用がかかりますが、
平山さんのシステムは、ホームセンターなどで購入できる身近な道具や資材で設備を整えることだでき、
400万程度と低コストで始められます。
川や海の近くではなくても、設置スペースさえあればサーモンの陸上養殖ができるため、
全国的にも広がりつつあります。
現在、国内消費量の7割をチリやノルウェーからの輸入に頼っているサーモン。
輸送コストの増加などで価格の上昇も懸念され、国内での安定した供給が求められています。
需要が高まるなか、すくすくと育っている枕崎のサーモン。
品質をさらに上げるための特徴が「水」です。
地下水を使うことで赤潮の被害をうけず、寄生虫なども入りません。
養殖で出た排水うぃ利用した水耕栽培。
バクテリアがエサの残りや糞が混ざった排水を植物の栄養素に分解。
栄養素を含んだ水で野菜を栽培し、残りの水を自然に戻します。
水を循環させる環境にも配慮したサーモンづくりですが、
枕崎の地下水はサーモンにとっては温度がやや高め。
水温をカバーするために酸素濃度を調整することで、枕崎での養殖を可能に。
台風銀座ともいわれる枕崎。
今年8月の台風10号では最大瞬間風速51.5mを観測しました。
養殖場もビニールハウスなどが飛び、1万匹中500匹ほどが被害にあいました。
試行錯誤を重ねながらもサーモンと向き合った1年。
今月下旬に、初めての出荷を控えています。
現在24の生け簀がありますが、すでに供給が追い付いておらず、
将来的には南薩摩地域を中心に200個ほどに増やす計画です。
事業の拡大では新たに70人ほどの雇用も生まれる見通しで、
サーモンが枕崎の地域活性化につながれば、と期待しています。
「陸上サーモン」が枕崎の新たな特産品として、地域をさらに盛り上げる日もそう遠くはないかも・・・