与論島の海岸に設置されている『拾い箱』これは、ゴミ箱ではなく、海の漂着ゴミを入れる専用の箱。
発案したのは海のガイドを行う池田龍介さん。
(池田龍介さん)「海に行ったついでにちょっと拾う。島民も観光客も特定の誰かがやることではなく自分たちの島だし、みんなでちょっとずつきれいにする島、そういう地域がいいと思った」
鹿児島県最南端の与論島。透明度の高い海や白い砂浜に囲まれた、周囲およそ23.7キロの小さな島ですが、この与論島の海岸にも毎日ゴミが流れ着いています。
(池田龍介さん)「発泡スチロールも多いですね。これが細かくなると本当に拾えない。子供のころにくらべると(海が)ちょっと汚れているという感覚があった。」
そこで2017年、池田さんが与論町役場と契約して島内8か所に設置したのが『拾い箱』です。
島民はもちろん、観光客など誰でもいつでも海に行ったついでに気軽にゴミ拾いができる環境を整えました。
(池田龍介さん)「普通は観光地は人が来るほど汚れますけどその例外。砂浜の漂着ゴミに関してだけいえば”人が来るほどきれいになる砂浜は無理ではない”」
与論島の海を守るため奮闘を続ける池田さん。そんな池田さんを支えてくれる人がいます。
去年入籍した妻の香菜さんです。
東京出身の香菜さんは、2014年、与論町役場にインターンシップにきたことがきっかけで池田さんと出会います。
大学で環境について学び、現在、サンゴ礁の保全活動をするNPO法人で働く香菜さん。池田さんにとって与論島の海を守ろうという同士であり、よき理解者です。
(香菜さん)「せっかく始めたし(拾い箱)がなんとか定着してもらえたら。島の環境など島のことをちゃんと考えてくれる子どもが育つように、一緒に仕事ができたらいいと思っています。」
二人が今力を入れているのが子どもたちへの環境教育です。
与論町では子どもたちの海を取り戻す問題について興味を持ってもらおうと去年から小学生に海洋教育を行っています。
この日は池田さんが5年生11人に対し漂着ごみについての授業を行いました。
(池田龍介さん)「海ってつながっているでしょう。地球に海って一個しかないから」
池田さんはこの日、日本が世界の中でもプラスチック使用量が多いこと、そして自分たちも日々ゴミを出すことで何処かの海を汚してしまう可能性があることについて話をしました。
(池田龍介さん)「使い捨てがすごく当たり前になっていて(プラスチック使用量は)世界で2番目。使い捨ては減らさないといけない。難しいと思うけど、自分たちにできることはなにか、考えてみて」
(生徒)「自分から積極的にゴミ拾いをする。」「無駄なプラスチックは使わない」「自分が1日に使ったプラスチックの量だけ海でごみ拾い」
1人の100歩よりも100人の1歩。みんなでちょっとずつできる島づくりができたら。
与論島の海を、そして世界の海を守るため、できることをみんなで少しずつ。池田さんの挑戦は続きます。