屋久島の西側にある永田浜。
年に数千回以上の上陸がある日本最大のアカウミガメの産卵地です。
永田浜では観光客などが産卵を妨げないよう、町や関係団体などがルールを定め、産卵が見たい場合は地域の産卵観察会に参加するよう呼びかけています。
地元の子どもたちにとっても産卵を見るのは貴重な経験です。
(地域に住む子ども)「テレビでは見たことがあるが本当に見られるのですごい」
(保護者)「会えてよかった。(産卵に来てくれることが)とても誇らしい」
(屋久島うみがめ館 西田 修一 代表)「命の大切さ、生命の神秘。ウミガメが一生懸命産卵する姿を見て命の大切さを学んでくれたらと思う」
こちらはおよそ60年前に島の南西側の栗生集落で撮られた写真です。
かつて、ウミガメの卵は貴重なタンパク源で、集落では産卵が途絶えないよう卵を取り尽くすことはありませんでした。
しかし、1980年代に県内各地の砂浜で卵の乱獲されたことから県は、1988年に保護条例を制定。ウミガメの卵の採取は原則禁止となり、地域で卵を食べる文化も途絶えました。
(上山 憲久さん)「昔は夜(栗生中学校の)宿直室に泊まって朝もずっと砂浜を回って、卵を掘り起こしてバケツに入れて、村でずっと売っていた」
栗生浜でウミガメの産卵調査を40年以上続ける、上山憲久さん(70)。
子どもの頃、ウミガメの卵を食べて食糧難を乗り切りました。
この経験から、海の恵への感謝の気持が育まれたと言います。
(上山 憲久さん)「割れた卵は砂浜において砂をかぶせて、ポッとしたら黄身だけ出てくる、それをすすって食べたりしてね。」
かつて栗生浜は今よりも広く、ウミガメの上陸回数も45年前は一晩に30回近くあったのが、現在では一晩に一回程度にまで減ったと言います。
(上山 憲久さん)「このブロックをはめたのが悪くて、砂浜がほとんど削られてしまってこういう状態になっている。ここは松林がすごかったですからね。今は松の木も全然無くなって。」
卵を食べる文化が失われ、上陸回数も減るなどウミガメが人々にとって遠い存在になりつつある状況を目の当たりにしている上山さん。
子どもたちにはウミガメとともに生きてきた地域の歴史、文化を改めて見つめ直し、浜で遊びながら「自然観」を養ってほしいと願っています。
(上山 憲久さん)「(遊ぶ子どもは)全然少ないです。ほとんど地元の子どもたちはいない。たまにはお父さん、お母さんたちと一緒に来て遊んでもらえれば勉強になると思う。そうすれば、皆さんがウミガメのことについてよくわかるようになると思う。」