薩摩半島と大隅半島。ふたつの半島に囲まれた鹿児島の海、錦江湾。世界的にも珍しい、内湾でありながら、200m以上の深海を持つ海です。
NPO法人 くすの木自然館 代表理事 浜本麦さん
「生き物の種類がたくさんいる、多様性に優れている。深海・藻場・干潟・磯・サンゴなどがあり、石がゴツゴツしたところも、桜島の溶岩が流れてできた特殊な場所がある。それぞれの場所を好む生き物が住んでいるので、(錦江湾には)生き物の種類が多い。色々な生き物にとって住みやすい環境があるのが、錦江湾の一番の良さだと思っています。」
そう語るのは、NPO法人くすの木自然館の代表理事を務める浜本さん。錦江湾を望む重富海岸に隣接する、なぎさミュージアムの管理・運営を行っています。
浜本さん
「なぎさミュージアムは2012年に錦江湾が霧島錦江湾国立公園になったとき、錦江湾のことを知ってもらう展示施設がないということで、国立公園としての錦江湾を多くの人に知ってもらうために展示・解説をしているビジターセンターです。なぎさミュージアムの管理・運営はNPO法人くすの木自然館が行っていて、生き物の観察ツアーや学習会・マイクロプラスチックのツアーなどをしています。」
重富海岸は、数百メートルに及ぶ砂浜と松林、さらに錦江湾エリアで最大の干潟が広がる場所。
ここでは多くの生き物を見ることができます。
浜本さん
「澪筋という、水が流れてくる場所に生き物たちは集まるんですよ。」
「マメコブシガニですね。前にも後ろにも、全方位に歩けて、砂に潜ることもできるカニです。」
「(地表にいるのが)マメコブシガニとヤドカリ・ウミニナ。穴が開いているところを掘ると生き物が出てきます。」
「ギボシイソメ。ゴカイの仲間です。」
「干潟で遊ぶときのコツは、まずしゃがむこと。しゃがんでじーっと見ていると、目線の高さがあって、いろいろな生き物がすぐ近くに見えるようになります。」
「すっごく難しいんですが、この水たまりの中に、魚がたくさんいます。」
干潟の水たまりにいる、長さ3cmほどの魚。絶滅危惧種に指定されているチクゼンハゼです。
重富海岸の干潟にはほかにも、ウミニナやムギワラムシなど、準絶滅危惧種や絶滅危惧種に指定されている生き物が生息しています。
全国的にも珍しい海域環境を持つ錦江湾。身近でありながら、まだまだ知られていない部分も多くあります。
浜本さん
「干潟や錦江湾の価値を認識して、その環境を壊さないように大事に遊んで、錦江湾・干潟って楽しい場所だと思ってくれる人がいっぱいいてくれるのが一番かなと思います。