日本の食文化を代表する食材・ウナギ。鹿児島県は養殖ウナギ生産量日本一。国内で流通する4割以上を出荷しています。
ウナギの養殖は、天然のシラスウナギを捕獲して育てています。しかし、ニホンウナギの稚魚・シラスウナギは年々捕れる量が減っており、2014年には絶滅危惧種に。
国はウナギの子どもを人工的に作り養殖する「完全養殖」を推奨。手を挙げたのが、医薬品開発による支援事業を行う新日本科学。
株式会社新日本科学 代表取締役会長兼社長 永田良一さん
「県からウナギの人工生産ができないかという話があった」
永田さんが目指すのは、ウナギの完全養殖。ウナギの完全養殖とは、ウナギから採った卵を人工的に育て、その成長したウナギから卵を採り育てるというサイクルを繰り返していくことです。
実現すれば、天然のシラスウナギを捕る必要がなくなり、海洋資源の保護につながります。また、市場に安定的に供給でき、価格面でも貢献できると考えました。
株式会社新日本科学 代表取締役会長兼社長 永田良一さん
「例えば、『今日の昼ごはんはラーメンにする?ウナギにする?』っていう感じで(気軽に)食べられるような。価格を抑えていくという」
研究を始めて4年目の2017年にシラスウナギの生産に成功した新日本科学。
2019年には新たな研究施設を開設。場所は奄美群島の南西部に位置する沖永良部島。エサの開発や受精率・ふ化率の精度を上げるための研究が行われています。卵から親ウナギの飼育まで水槽で使用されるのは、すべて天然の海水。
新日本科学 沖永良部研究室 室長 宇都宮慎治さん
「水中ポンプが沈めてありまして、そこから研究室まで水をずっと送っているというような状況です。
「かなり澄んだきれいな海水があるのと、海水温が比較的高いのがメリットとして大きいかなと考えています。」
この日、関係者を集めた試食会が計画されました。用意されたのは沖永良部研究室で卵から生まれた人工生産のウナギです。
「おいしい。沖永良部島の海水で育ったと思うと余計に(美味しく感じる)。」
「脂がのっていておいしい」
品質は問題なし。あとは大量生産の体制を整えること。2026年度には商業化の最低ラインとする10万匹生シラスウナギを卵から生産したいと考えています。
株式会社新日本科学 代表取締役会長兼社長 永田良一さん
「(ウナギは)世界的な需要があるんです。1社でやるんじゃなくて、複数の会社でみんなで手を組んでいきたい。みんな幸せっていうのが僕の理念ですから。」