住用湾に面し、約90世帯が暮らす市集落では、
五穀豊穣を祈る行事『浜下れ(ハマオレ)』が、毎年5月に海辺で行われます。
海に面している集落しか「浜下れ行事」はほとんどないと思う。
みんなの寄り合う場ができる、なくてはならない行事と、集落の人は語ります。
また、集落では今年、途絶えていた米作りを再開。
20年ぶりに田んぼを復活させました。
集落には『ムシケラシ』という、独特の風習が有ります。
農作物の害虫を捕り、海に投げて豊作祈願をするというもの。
虫と石を一緒に葉でくるみ、海に向かって投げる「ムシケラシ」という行事は、昔は奄美大島のどこの集落でもあったもの。
「豊作になってほしいという思いがあったと思います。」と、語るのは、区長の田川一郎さん。
農薬が高い時代に、たくさんいた害虫を殺して捨てる“気休め”みたいなもの。
ということで・・・行事の前に、まずは田んぼへ。
田んぼにはいろんな生き物たちも。
ムシケラシの準備ができたら、漁船パレードで「浜下れ(はまおれ)」が始まります。
子どもたちを乗せた12隻の船が、大漁旗をなびかせ海へ向かいます。
「浜下れ」は、田植えが終わった時期に労働の疲れを癒やす祭りでもありました。
船こぎ競争や島唄など、ひがな一日海で遊びます。
パレードの後は、船上から餅まきです。
集落の人々は、「この季節、毎年来ています。楽しいです。」
子どもたちが一列に並び、葉でくるんだ虫を、後ろ手に海に投げ入れます。
集落の人は「浜に来ないとね。潮風を受けながら呑むのが一番いい!これが最高!」
「これが一番の楽しみですよ。年に一回の行事だから楽しみにしています。」と話します。