国府高校理数科3年の伊地知夢乃さんをリーダーとする6人。6人は茨城県で開かれた、中高生が科学の分野などでアイデアを競う『つくば Science Edge』で最高賞の文部科学大臣賞に輝きました。
研究テーマは毎年大きな漁業被害を出している赤潮です。
理数科3年 水元あおいさん
「教科書に赤潮の被害が載っていて、赤潮の被害が防げないかなと」
今年2月には鹿児島湾で3年ぶりに赤潮警報が発表され、養殖のブリやヒラマサなどおよそ4万5000匹が死に、被害額は1億円余りにのぼりました。赤潮は人が使った洗剤や農薬肥料に含まれる窒素や燐酸などが海に流れ込みし、それを餌にプランクトンが大量発生する現象です。
大量のプランクトンで海中の酸素の量が減ったり、一部のプランクトンが毒を出したりすることで、魚が死んでしまうのです。
赤潮から魚を守るために6人が開発したのが、5センチ角ほどの小さなこの装置。
プランクトンの餌となり、大量発生の原因となる海中のリン酸の濃度を調べることができます。リン酸の濃度を常にチェックしておくことで、赤潮が発生するリスクを事前に知ることができます。
開発期間はおよそ1年、学校にあるリン酸濃度の測定器は1台、数十万円しますが、手作り装置の製作費はたったの840円。本体は3Dプリンターで作りました。
理数科3年 石崎嵯弥さん
「装置ができたので、養殖場の人とかに使ってもらいたいのが最終的な目標」
装置の仕組みはこうです。
リン酸に反応して色が変わる溶液を透明なプラスチック容器に入れます。そこに赤外線レーザーを当て、溶液を通り抜けた後の光の強さなどをもとに、リン酸の濃度を割り出す計算式を作りました。
理数科3年 伊地知夢乃
「私たちのこの方法だったら、高校生でも学校であるもので簡単にできる」
実際に川や海岸魚の養殖場で試し学校にある測定器と性能に差はないかも調べました。
「0.01というすごく小さい誤差で測定ができた、安いしこれでもう大丈夫だろうと」
霧島市隼人町のヒラメ養殖場です。ヒラメの養殖には、大量の海水が必要なだけに、赤潮の発生には警戒しています。
MBC開発地産事業本部・生産販売部 古賀桂久部長
「トライ&エラーを繰り返して良いものを作っていた、本当にすごいと感心した」
MBC開発地産事業本部・生産販売部 古賀桂久部長
「安く、簡単にできれば何回も測れたりとか、例えば自動で測ったりできるようになれば、(赤潮の)発生の原因をつきつめていくことができるのでは」「鹿児島はすごく養殖が盛んなところ、そこに興味をもって進めてもらえたら、将来が有望だと思った」
今後、シンガポールで行われる科学をテーマにした国際コンテストへの出場が決まっていて、海や魚を守るために高校生が開発した、小さな装置はますます注目を集めそうです。
理数科3年 伊地知夢乃さん
「多分、国分高校初となる世界大会での受賞もできるよう頑張りたい」