海や川でのレジャーが増える時期を前に、東京で先月、水難事故の防止などについて話し合うシンポジウムが行われました。
これは、正しい海の備えを身につけることを目指す、『海のそなえプロジェクト』の一環として行われたものです。
シンポジウムでは、まず交通事故による死者数は1995年と比べて、2012年はおよそ4分の1に減ったものの、溺死による死者の数はほぼ横ばいに推移している現状が報告されました。
日本財団 海野光行常務理事
「溺水が変わってないのは、対策が科学的・証拠に基づいて行われていないのでは」
今回初めて公開された水難事故に関するアンケート調査によりますと、およそ5人に一人は溺れた経験があると回答しました。また、その経験の多くは12歳以下の体験であることがわかり、子どもへの安全教育の重要性が示されました。
しかし、波に流された際には、背浮きをして救助を待つなどという指導もよく耳にするものの、シンポジウムに参加した有識者らは、実際に波がある状態で背浮きをした実験映像などを提示し「対処法には限界がある」として、溺れたり、波に流されないための知識を身につけておくことが何よりも大切だと話しました。
日本水難救済会 遠山純司理事長
「そこに至らないためにどう備えるか。どういう知識を教えるかが、一番欠けてるのでは」
「溺れてしまったらやることには限界がある。パニックになったり、そこまで考えが至らない」
「そうならないための知識の教育が大事」
また、シンポジウムでは水難事故から身を守るためのさまざまな浮力アイテムも紹介されました。
鹿児島でも去年、水難事故が41件発生し、23人が亡くなったり、行方が分からなくなっています。
県内各地で今年も海開きが始まっていますが、海の危険性を認識し、備えておくことが、安全に海を楽しむためには必要と言えそうです。
日本財団 海野光行常務理事
「完全に安全な海を人間の手で作れないのであれば、常に海の怖さを忘れないことこそが、安全に海を楽しむために1番必要なことでは」