鹿児島湾でこの時期、大量に発生し、漁業関係者を悩ませているエイ。
19日朝、姶良市で駆除作業が行われましたが、実はこの“厄介もの”を「海のジビエ」として活用し、新たな特産品を生み出そうという動きがあります。
(記者)「午前5時半、姶良市の加治木港です。地元の漁協の駆除作業に同行します」
きのうのうちに沖にしかけた網を引き揚げると、捕れていたのは大きなエイ。ナルトビエイやアカエイなどで、全長が1.5メートル近くもあるものもいました。
姶良市の沿岸など鹿児島湾では、水温が上昇して産卵期を迎える7月から9月に、エイがえさを求めて大群で押し寄せると考えられています。エイは、尾の鋭いトゲに毒があって危険な上、漁業用の網を破るなどの被害を出すこともあります。
さらに、姶良市の重富海岸は、かつては毎年、数万人の潮干狩り客でにぎわいましたが、平成に入るとアサリは徐々に減り、今は、潮干狩りは禁止となっています。貝の回復を目指す地元にとって、大量の貝を食い荒らすエイは、”厄介もの”となっています。
エイは20年ほど前までは食卓に並ぶこともあったといいますが、水揚げ後、時間が経つと身に臭みが残るため、現在は市場に出回らず、水揚げされてもほとんどが廃棄されています。
その“厄介もの”のエイに注目したのが、姶良市特産品協会です。桜島の火山灰で3日ほど干し上げることで臭みを取り、から揚げや煮つけなどのご当地料理の開発につなげようと、取り組んでいます。
19日は、水揚げ直後に刺身で試食し、関係者がそのこりこりとした食感を確かめていました。
漁業関係者を悩ませる“厄介もの”を「海のジビエ」として活用し、低迷する魚の消費の底上げにつなげることができればと、関係者は期待しています。市特産品協会では、エイ料理の飲食店や学校給食での提供を目指していて、来月2日に試食会を開くことにしています。