小笠原諸島の海底火山の噴火で出た軽石が、鹿児島県内に漂着している問題。漁業や観光などに影響が出ていますが、この軽石を活用しようとしている徳之島での取り組みを紹介します。
鹿児島県の奄美群島や沖縄県などに流れ着いている軽石。1000キロ以上離れた小笠原諸島の海底火山が噴火し流れ着いたものです。
海底火山の噴火は自然現象で悪ではないものの、鹿児島県内各地の離島では白い砂浜が灰色の軽石に覆われ、景観が損なわれています。
(ホテルのマリンレジャー担当)「与論の白い砂浜にこういった黒いものがあるのはイメージが悪くなる。これだけ撤去するのはマンパワーだと大変。」
また、サンゴへの影響を調べ始めている研究所もあります。
住民を困らせているこの厄介者を活用しようという人がいます。
徳之島・伊仙町で14年前からコーヒーを栽培している宮出 博史さん。
コーヒー栽培の北限に近い徳之島ですが、赤土で粘土質の土壌が多く栽培の難しさを感じていたと言います。
(宮出 博史さん)「長い間、土壌改良に関して模索してきたので必然で、これ(軽石)は使わないととすぐ取りに行った」
水はけが良い土壌が必要なコーヒー栽培。粘土質の土に軽石を混ぜ、排水性をよくする土壌改良を思いつきました。
使うのは、海岸で拾った軽石。塩害の可能性を考え、水につけて干してから使用しますが、塩分を抜く工程が必要なのかどうかを含めまだまだ検討中だということです。
軽石を混ぜた土にこれまでに100本ほどの苗木を植えましたが、枯れるなどの悪影響は出ていないということです。
地元の犬田布中学校の生徒も授業の一環で苗木の植樹に参加。
この場所は、宮出さんが以前、コーヒーの苗木を植えすべて枯れさせてしまった土地で、その後、耕作放棄地となっていました。
(宮出 博史さん)「今回軽石とこの10年の技術力で、栽培が可能になっているのではないか」
土を耕し軽石を混ぜて、この日はおよそ50本の苗木を植えました。
(生徒)「迷惑になっている軽石を使ってコーヒー栽培ができるのはすごい」
(生徒)「おいしく大きく育ってほしい」
(宮出 博史さん)「徳之島は赤土が多いので、赤土でコーヒーが栽培できるというのも農産物としては広がりが見える。赤土でも生育がいいというのも実証しておきたい」
地元の海に流れ着いた厄介者を活用する宮出さんの取り組み。これからもよりよい活用方法を模索しながら、土壌改良を続けていきたいとしています。