6年前に住む人がいなくなりましたが、元島民がふるさとへの移住に向けた準備を始めています。
新島への行政連絡船が出航する桜島の浦之前港には、ある夫婦の姿がありました。北九州市の佐々木直行さん(65)と和子さん(59)です。
和子さんは、小学6年生まで新島で過ごした元島民です。佐々木さん夫婦は最近、ある決断をしました。
(佐々木直行さん・和子さん)「鹿児島市の新島に夫婦で移住することを決断しました」
新島は、桜島の北東にある周囲およそ2キロの島です。ヒジキ漁が盛んで、ピーク時は、およそ250人が住み、学校や商店もありましたが、6年前に無人島になりました。
和子さんの姉の東ひろこさんら元島民は、ふるさとの再生のためNPOを立ち上げ、島の保全や自然体験イベントを続けてきました。2人も北九州から月に2回程鹿児島に帰っては新島の清掃などに励んできました。
夫の直行さんは、移住に対して不安があったものの、突き動かしたのはおよそ6年間、新島へ通い続けて生まれた思いでした。
(直行さん)「島全体をきれいにしたい守りたいっていう気持ち」
(和子さん)「考えると現実的には不安ばっかり、先立つものや状況など。でもなるようになるのかなと思って」
2人は今、移住に向けて準備を進めています。新島で購入した空家をリフォームするのに必要な資材を船に載せ運びました。ボランティアの4人も手伝い、新島の港の目の前にある新居となる家に資材を運び込みました。そして、家の近辺に降り積もった桜島の灰を掃除しました。
(佐々木直行さん・和子さん)「『この島に来てよかった』と言われるよう、安心して来られるような島になってほしい」
佐々木さん夫婦は、夏ごろの移住を目指していて、準備がうまく進めば新島に6年ぶりに人の暮らす声が戻ることになります。