あざやかな薄紫色のスカーフ。
じつは、これ「ウニ」のとげで染められたスカーフなんです。
開発したのは、阿久根市の水産加工会社・尾塚(おづか)水産。阿久根産のウニを使った加工品を作っています。
そもそもなぜ、高級食材のウニを使って染物をしたのでしょうか。
尾塚水産 尾塚ヱイ子代表
「磯焼けといって、海藻がなくなってしまう現象が起こっている。ウニが海藻を食べてしまっているということで、ウニの駆除をするんですよね」
実は、阿久根の海ではウニの大量発生が問題となっています。
ウニが海藻を食べつくし、海藻が生い茂る場所・藻場(もば)が消失する「磯焼け」といわれる現象が起きているのです。
増えすぎたウニは、海藻を少量しか食べていないため、身が少なく、商品価値はほとんどありません。
地元の漁協などではウニの駆除を行ってきましたが、駆除したウニを生かす取り組みも始まっています。
尾塚水産では、これまでにウニの殻を高温で焼き、粉末にした「ウニ殻カルシウム」を作りクッキーなどを作ってきました。
そして今回、ウニのとげを染料としたスカーフが作られたのです。
染め方は簡単です。
ウニのとげを粉末にしたものをクエン酸とお湯が入ったものに入れて溶かし、布をひたします。
更に布を石灰水に浸すと、鮮やかな薄紫色に染めあがりました。
尾塚水産 尾塚ヱイ子代表
「こんなにきれいな色とは知らなかった」
このスカーフは海を守る活動の一環になると注目を受けていて、去年、バチカン市国のローマ法王に手紙を添えて贈呈したところ、感謝状が送られてきたということです。
尾塚水産 尾塚ヱイ子代表
「夢みたい」
今後は、阿久根の海の現状やウニについて知ってもらえればと日本国内でも販売を検討していくほか、ウニで作られた醤油「うに醤(うにひしお)」と一緒に、海外への輸出を展開していきたいとしています。
輸出のサポートを行うClimbest 脇野真理江代表
「(うに醤は)イタリアならパスタやリゾットのソースなどにも合う。調味料としてすごくおいしい。スカーフは海の保護活動をしているという活動自体のPRとして魅力がある」
尾塚水産 尾塚ヱイ子代表
「買っていただいた方には、海をこれで守っていますよということを伝えたいですね」